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就業規則・働き方

業務委託と雇用の違いは?雇用とみなされない線引きと、フリーランス法で発注側がやること

フリーランスなど個人に仕事を業務委託で頼んでいて、雇用と見られないか、フリーランス法で何をしなければならないかに不安を感じている担当者・経営者に向けた記事です。業務委託・雇用・派遣の違い、雇用とみなされる基準、業務委託に向く仕事の見分け方、発注から支払いまでに会社がやることを整理します。

結論

業務委託か雇用かは、契約書の名前ではなく働き方の実態で判断されます。仕事の進め方や時間・場所を会社が細かく指示していれば、業務委託の契約でも雇用とみなされることがあります。業務委託は「成果物や完了の基準を決めて任せる」ことで成り立つ形です。発注するときは、フリーランス法にしたがって取引の条件を書面やメールで示し、受け取った日から60日以内に報酬を払います。

業務委託・雇用・派遣の違い

業務委託は、民法上の請負(仕事の完成に対して報酬を払う)や準委任(事務の処理を任せる)の契約をまとめた呼び方です。雇用や派遣との一番の違いは、誰が仕事の指示を出すかにあります。

業務委託・雇用・派遣の違い
契約仕事の指示報酬・賃金主なルール
業務委託出さない(進め方は受託者に任せる)成果物・業務の完了に対して払う民法、フリーランス法など
雇用会社が出す働いた時間・日数に対して払う労働基準法、社会保険・労働保険
派遣派遣先が出す(雇用主は派遣会社)派遣会社が払う労働者派遣法

会社にとって業務委託の利点は、仕事の進め方を任せられることです。その分、時間や手順の管理はできません。この前提を崩すと、次の節の「雇用とみなされる」問題が起きます。

雇用とみなされる線

契約の名前が業務委託でも、実態として会社の指揮監督のもとで働き、その対価として報酬を受けていれば、労働基準法の「労働者」と判断されます。そうなると、労働時間・割増賃金・年次有給休暇・解雇のルールが適用され、社会保険や労働保険の加入も問題になります。判断は、主に次の点を見て総合的に行われます。

労働者かどうかを判断するときに見る点
見る点雇用に近づく業務委託らしい
依頼を断れるか頼まれた仕事を断れない受けるかどうかを自分で決められる
進め方の指示手順や作業の中身を細かく指示される進め方は任され、成果物で確認される
時間・場所勤務時間や場所を決められ、管理されるいつ・どこで作業するかを自分で決める
代わりの人本人以外がやることを認められない補助者を使う、再委託することができる
報酬の決め方時間単位で、欠勤すると減る成果物や件数で決まる
道具・費用会社の機器や費用で作業する自分の機器を使い、費用も自分で持つ
専属性ほかの仕事を事実上できない複数の取引先と仕事をしている

労務の現場から

業務委託でまず守るのは、細かいことを管理しないことです。業務委託は、成果に対して報酬を払う形だからです。

ところが業務委託の人と仕事をしていると、「もっと社員のように働いてもらえると助かる」という欲が出てきます。その結果、必要のない細かいミーティングを入れたり、定例会議への参加を必須にしたりしがちです。けれど本来は、社員がやる仕事を業務委託として外に出している形なので、会社の側に制約がかかるのは当然です。それを理解したうえで、グレーな運用を攻めるのではなく、きちんと線を引いた業務を任せることで、社内の人の手を本来の仕事に回せます。名刺などでも、社外の人だと分かるようにしておきます。

会社と業務委託の契約を結んだ相手の会社の社員に、自社の担当者が直接指示を出すのも問題です。請負の形をとりながら実態は派遣と同じになり、いわゆる「偽装請負」として労働者派遣法や職業安定法に違反するおそれがあります。相手の会社の社員への指示は、相手の会社の責任者を通します。

業務委託に向く仕事か

労務の現場から

業務委託のメリットは、任せたら放っておけることで、マネジメントのコストが下がる点にあります。だから、そのメリットを生かせるポジションかどうかを先に考えます。人件費や手続きの手間を減らす目的で「雇用より業務委託のほうがよくない?」と働き方を決めるのはお勧めしません。大切なのは、外注として業務を設計できているかです。成果物で完了する形にしておけば、細かい指示を出さずに済みます。

業務委託にする前に、次の点を確かめます。1つでも当てはまらなければ、雇用(パート・契約社員など)や派遣も含めて考え直します。

  • 成果物や完了の基準を、言葉で書き出せるか
  • 仕事の進め方を、相手に任せられるか
  • 作業する時間や場所を、会社が決めなくても回るか
  • 社内の会議や定例に、出てもらう必要がないか
  • 報酬を、時間ではなく成果物や件数で決められるか
  • 相手が、ほかの取引先の仕事も受けられる量か

フリーランス法で発注側がやること

2024年11月1日から、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)が施行されています。従業員を使わずに1人で事業をしている個人や、代表者のほかに役員も従業員もいない法人(特定受託事業者)に業務を委託するときに適用されます。発注する会社の義務は、自社に従業員がいるか(法人の場合は、従業員がいなくても代表者のほかに役員がいるか)、委託の期間がどれくらいかで変わります。下の表では、この条件にあたる発注者を「従業員がいる会社」とまとめて書きます。

フリーランスに発注する会社の主な義務
義務対象の発注中身
取引条件の明示すべての発注(発注者に従業員がいなくても)業務の内容、報酬の額、支払期日などを、発注したら直ちに書面かメールなどで示す
期日内の支払い従業員がいる会社からの発注成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ早い日を支払期日にし、その日までに払う
禁止行為同上で、1か月以上の業務委託受け取りの拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入の強制、不当な経済上の利益の要求、不当なやり直し
募集情報の表示従業員がいる会社広告などで募集するとき、うそや誤解を招く表示をせず、最新の内容に保つ
育児・介護への配慮同上で、6か月以上の業務委託申し出に応じて、育児や介護と両立できるよう必要な配慮をする
ハラスメント対策従業員がいる会社相談に応じる体制を整えるなど、必要な措置をとる
中途解除の予告同上で、6か月以上の業務委託契約を途中で解除するときや更新しないときは、原則30日前までに予告する

明示する取引条件は、業務の内容、報酬の額、支払期日、双方の名称、委託した日、成果物を受け取る日(役務を受ける日)と場所、検査をする場合はその完了日、現金以外で払う場合はその方法です。相手に従業員がいる場合や、代表者のほかに役員がいる法人に委託する場合は、フリーランス法ではなく、取引の規模によって中小受託取引適正化法(2026年1月1日に下請法から改正)の対象になることがあります。

フリーランスへのハラスメントの相談も、自社の相談窓口で受けられるようにしておきます。社内のハラスメント対策の進め方は次の記事にまとめています。

詳しく読むハラスメント防止で会社がやることは?相談窓口・調査・処分の流れと、カスハラ対策の義務

発注から支払いまでの流れ

フリーランス法の義務と、雇用とみなされないための線引きを、1つの流れにまとめると次のようになります。

  1. 任せる業務と成果物を決める何をもって完了とするか、どう確認するかを決めます。進め方の指示ではなく、成果物の基準として書きます。
  2. 発注書・契約書で条件を示す上の取引条件を、発注したらすぐに書面やメールで示します。契約書のひな形と発注書の様式に、明示事項がそろっているかを一度確かめておきます。
  3. 進め方は任せ、成果物で確かめる途中の連絡は、進み具合や仕様の確認にとどめます。社内の定例への参加を求めたり、作業時間を管理したりしません。
  4. 受け取った日から60日以内に払う成果物を受け取った日を記録し、支払期日を管理します。経理の締めの都合で期日を後ろにずらすことはできません。
  5. 更新・終了を早めに伝える6か月以上続いている委託をやめるときは、30日前までに予告します。更新のたびに、働き方が雇用に近づいていないかを上の表で見直します。

業務委託のルールも、就業規則や社内の規程と一緒に整えておくと運用がぶれません。従業員の副業が業務委託の形の場合の扱いは副業・兼業の記事で説明しています。

詳しく読む就業規則はどう作り、どう直す?ひな形の見直しから意見聴取・届出・周知、テレワークの規程まで

制度の中身は、厚生労働省のフリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ(法律の概要・パンフレット・解釈ガイドラインあり)、労働者かどうかの判断基準は労働基準法の「労働者」の判断基準について(昭和60年 労働基準法研究会報告)、請負と派遣の区別は37号告示関係疑義応答集で確かめられます。個別の契約が雇用にあたるかの判断に迷うときは、労働基準監督署や社会保険労務士、弁護士に相談するのが確実です。

更新履歴

  • 2026年10月1日: 公開