勤怠の日次アラートは自動にできる?打刻漏れ・深夜と休日・月の途中の残業を毎朝知らせる仕組み(サンプル付き)
勤怠のシステムを毎朝開いて、打刻漏れや深夜の勤務、残業の多い人を目で探している労務の担当者に向けた記事です。前の日までの勤怠を毎朝読み込み、打刻漏れは本人に、残業は本人と上司に、深夜・休日の勤務は担当者に知らせる仕組みを、Googleのスプレッドシートで動くサンプルと一緒に紹介します。毎日見るのは、懸念のある内容だけです。
この記事で分かること
- 毎日の勤怠で見る3つと、それぞれ誰に知らせるか
- 打刻漏れを、翌朝の業務開始の直後に本人へ送る理由
- 深夜・休日の勤務を、会社の決まりどおりか確かめる見方
- 月の途中の残業を、「実績のライン」と「月末の見込み」の2本で見る方法
- 日別のデータの置き方と、Google版のサンプルの使い方
毎日見るのは、懸念のある内容だけ
労務の現場から
勤怠のデータを毎日取り出して見ているのは、打刻漏れや、会社によっては深夜の残業、休日の出勤といった、普段とは違う動きです。毎日すべてを見るのではなく、イレギュラーを見つけるために使います。
毎日見るものと、知らせる相手は次のとおりです。本人が直せるものは本人に、業務の調整が要るものは上司にも、会社として判断するものは担当者に、と分けると、届いた人が次にやることがはっきりします。
| 見るもの | 知らせる相手 | ねらい |
|---|---|---|
| 打刻漏れ | 本人 | 締めの前に、本人に直してもらう |
| 月の途中の残業(実績のライン・月末の見込み) | 本人と上司(CC) | 月末までの業務を調整してもらう |
| 深夜の勤務・休日の出勤 | 担当者(毎朝のまとめ) | 健康の管理と、会社の決まりどおりかの確認 |
勤怠の自動化は、3つの時点に分けると考えやすくなります。毎日(この記事)は打刻漏れや月の途中の残業、月の締めでは未申請や未承認の催促、締めのあとは確定したデータで36協定の回数や月80時間超を見ます。
詳しく読む勤怠の締めの催促は自動にできる?期限の決め方と、本人・上司へ段階的に送る仕組み(サンプル付き) 詳しく読む残業と有給のアラートは自動にできる?確定した勤怠で36協定の回数・80時間超・年5日を知らせる仕組み(サンプル付き)サンプル: 勤怠の日次アラート(Googleのスプレッドシート)
この記事で紹介する仕組みそのものです。コピーして「① 準備」を押すと、必要なシートができます。最初は、メールを送らずに記録だけ残すテストモードで動きます。本番での動作は保証できませんので、自社で試してから使ってください。
打刻漏れは、翌朝の業務開始の直後に本人へ
労務の現場から
打刻漏れは、翌日の9時に知らせています。業務を始めた直後に届いたほうが、その場で直してもらいやすいと考えているからです。会社ごとの業務開始の時刻に合わせるのがよいと思います。知らせるのは本人だけで、直るまで毎朝送ります。
見るのは、前の営業日から昨日までの分です。月曜の朝なら、金曜・土曜・日曜の3日分を見ます(土日は休日出勤の確認のため)。勤務日なのに出勤か退勤が空欄の日があれば、本人に「この日の打刻が入っていません」と送ります。今月のまだ直っていない日もまとめて書くので、前に知らせた日が残っていれば、毎朝同じメールが届きます。有給や欠勤など、休みの区分の日は対象から外します。
上司には送りません。打刻を直すのは本人で、上司に届いても次にやることがないからです。どうしても直さない人には、労務から上司に声をかけます。担当者が毎朝のまとめを受け取っているのは、そのためです。打刻の記録は、会社が労働時間を客観的に把握するための土台でもあります(労働時間の適正な把握のためのガイドライン)。締めの日にまとめて直すより、翌朝に直してもらうほうが、本人も覚えていて正確です。
深夜・休日の勤務は、担当者が毎朝まとめて見る
労務の現場から
深夜の勤務と休日の出勤を見るのは、健康の管理のためです。それに、多くの会社は深夜の勤務に何かしらの決まり(事前の申請がなければだめ、原則は禁止など)を設けています。その決まりどおりかを確かめる意味もあります。
深夜の勤務(22時から翌朝5時まで)と休日の出勤は、本人や上司ではなく、担当者あてのまとめに載せます。事前の申請が要る会社なら、勤怠のデータの「申請」の列と突き合わせ、申請がない勤務に印を付けます。申請がない勤務があれば、担当者が上司に事情を聞く、という流れにすると、会社の決まりが形だけになりません。
注意管理監督者も、深夜の割増賃金は払う必要があります。サンプルでは、管理監督者は残業の対象から外し、深夜の勤務はまとめに載せます。
月の途中の残業は「実績のライン」と「月末の見込み」で見る
労務の現場から
どの時間を基準にするかは会社によります。45時間を超えた人を全員見る会社もあれば、45時間以内で管理する会社なら35時間を超えたら知らせる、という会社もあります。特別条項に気を付けている会社なら、月末に「特別条項の時間−20時間」から「特別条項の時間」に着地しそうな人に知らせるのがよいと思います。ただ、予測はあくまで予測なので、基本は実績のラインです。
| 会社の管理のしかた | 実績のライン | 月末の見込み |
|---|---|---|
| 月45時間以内で管理する | 35時間 | 使わなくてもよい |
| 月45時間を超えた人を全員見る | 45時間 | 使わなくてもよい |
| 特別条項(例: 月80時間)に気を付ける | 45時間 | 時間外労働と休日労働の合計が60時間(80時間−20時間)以上に着地しそうな人 |
実績のライン(月45時間の原則など)は、時間外労働だけで見ます。一方、36協定の特別条項で決める1か月の時間は、時間外労働と休日労働を合わせた時間です(100時間未満に限られます)。そのため、特別条項に向けた見込みは、休日労働も足して出します(厚生労働省「時間外労働の上限規制」の解説資料)。
月末の見込みは、「ここまでの時間外労働と休日労働 ÷ 過ぎた営業日 × その月の営業日」で出します。月初は数日の残業でぶれが大きいので、サンプルでは5営業日が過ぎてから出します。
計算例: その月の営業日が21日で、11営業日が過ぎた時点の時間外労働が33時間(休日労働なし)の人
33時間 ÷ 11日 × 21日 = 63時間実績は35時間に届いていませんが、このペースだと月末に約63時間になり、「80時間−20時間」の60時間を超えます。本人と上司に、残りの営業日の業務の調整をお願いします。
知らせるのは、同じ種類につき月に1回です。毎朝同じ人に届くと、読まれなくなるからです。実績のラインと見込みが同じ日にそろったときは、1通にまとめます。特別条項の時間をすでに超えた人は、本人や上司には自動で送らず、担当者あてのまとめにだけ載せます。会社としてどう対応するかは、人が決めることだからです。締めのあとに確定したデータで回数や上限を見るのは、確定データのアラートの役目です。
データは「1人1日1行」で置く
サンプルが読むのは、勤怠システムから出した今月の日別のデータです。1人1日1行で、次の列があれば動きます。列の名前は、設定で自社のシステムに合わせられます。
| 列 | 中身 | なければ |
|---|---|---|
| 日付・社員番号・出勤・退勤 | 打刻の時刻(「9:00」「25:30」の形) | 必須 |
| 休憩 | 休憩の時間 | 0として数える |
| 勤務区分 | 出勤・休日出勤・有給・欠勤など | すべて出勤として扱う |
| 申請 | 深夜・休日の事前の申請 | 申請の確認をしない |
| 残業時間 | システムが計算した時間外労働の時間 | 退勤−出勤−休憩−1日の所定労働時間で数える |
| 休日労働時間 | システムが計算した休日労働の時間 | 休日出勤の日の勤務時間で数える |
残業時間の列がないときの数え方は、1日単位の簡単な計算です。休日出勤の日の勤務は休日労働として別に数え、実績のラインには入れず、特別条項の見込みには足します。ただ、法定休日でない休みの日(土曜など)の出勤や、週40時間を超えた分は本来は時間外労働になりますが、この計算では区別できません。正確に見るなら、勤怠システムの残業時間と休日労働時間の列を使うのが確実です。
データは、毎朝シートに貼り替えるか、Googleドライブのフォルダに置いたCSVを自動で読ませます。勤怠システムからデータを自動で取り出す方法は、次の記事にまとめています。取り出したデータを「日別の勤怠」に置けば、あとはこのサンプルが毎朝読みます。
詳しく読む人事・労務システムのデータを自動で取り出すには?APIの基本と、つなぐ前に確かめる3つの壁(サンプル付き)サンプルの使い方
- 準備するコピーしたスプレッドシートのメニュー「日次アラート」→「① 準備」を押します。最初に権限の承認を求められます。
- 設定を合わせる「設定」シートで、毎朝送る時刻(業務開始の直後)、休みの曜日、1日の所定労働時間、残業のライン、特別条項の時間を自社に合わせます。祝日は自動で休みになり、年末年始などは「会社の休日」シートに入れます。
- 名簿とデータを入れる「名簿」に社員番号・氏名・メール・上司を、「日別の勤怠」に今月のデータを入れます。試すだけなら、メニューの「テスト用のデータを入れる」で架空の8人のデータが入ります。
- 試してから毎朝にする「② 今日のアラートを作る」を押し、「送信の記録」で宛先と文面を確かめます。テストモードを「自分あて」にすると、すべて担当者に届きます。問題なければ「毎朝の自動の送信を始める」を押します。
テストのあとは、「送信の記録」の行を消してから本番にします。残業の知らせを月に1回にするために、この記録を使っているからです。
Microsoftの環境で組む場合
Microsoft 365の会社なら、勤怠のデータをSharePointかOneDriveのフォルダに置き、Power Automateで毎朝の流れを組めます。見るもの(打刻漏れ・残業・深夜と休日)と知らせる相手の分け方は、Googleでも同じです。通知をメールではなくTeamsやSlackに送る場合も、本人だけに届くもの、上司と共有するもの、担当者がまとめて見るものを分けておくと、通知が埋もれにくくなります。
自社の勤怠システムに合わせて日次のアラートを作りたい、という相談は、お問い合わせから「仕組みづくりの相談」を選んで送ってください。ほかの会社にも役立ちそうな内容は、記事で取り上げます。