勤怠の締めの催促は自動にできる?期限の決め方と、本人・上司へ段階的に送る仕組み(サンプル付き)
毎月の勤怠の締めで、締めていない人や承認していない上司への催促に追われている労務の担当者に向けた記事です。締めの期限の決め方と、本人・上司・その上の人へ段階的に催促する段取り、勤怠システムから出した締めの状況を読んで、その催促をGoogleのスプレッドシートで自動にする方法を、動くサンプルと一緒に紹介します。
この記事で分かること
- 締めの期限を「労務側の期限」と「従業員に伝える期限」に分ける考え方
- 勤怠の締めを3営業日で終える段取りと、催促の強め方
- 仕組みにすると減る手間(50人の会社の例)と、数字に出ない効果
- 勤怠システムから締めの状況を取り出す形
- Google版のサンプルの使い方(コピーして使えます)
- Microsoft・Teams・Slackで作るときの対応
締めの期限は2つ持つ
締めの期限は、2つに分けて持ちます。1つは、後の工程(給与計算など)を考えて、労務の側で締めておくべき期限です。もう1つは、従業員に知らせる期限です。待てるところまで待つのは大前提ですが、全体をぎりぎりまで待つと、後の工程が詰まってミスにつながります。そのため、知らせる期限は仕事ごとに考え方を変えます。
| 確かめること | 考え方 |
|---|---|
| 無理のない範囲か | 急ぎで知らせることになったときは、事情をそのまま伝えます。「〇〇への提出が〇日なので、その前日の〇日です」と書けば、こちらも余裕のない中でやっていることが伝わります。 |
| 実際の手間はどれくらいか | 本人が実際にかかる手間から逆算して、間延びしない期限にします。 |
勤怠の締めは毎月のくり返しなので、予定は前もって伝えられます。考えるのは、実際の手間のほうです。月末の最終日には、自分の分の勤怠は締められます。ふだんから毎日入力していれば、翌月の1営業日目に申請するのは数秒で終わります。本人の申請が1営業日目に終われば、上司の承認は2営業日目に終わるはずで、全体の締めは3営業日目で十分です。
労務の現場から
「締めは5営業日まで」と伝えると、5営業日目の直前まで手をつけない人が増えます。現場では、従業員には期限の日付を伝えず、すべて「本日中に」とお願いします。勤怠は給与の支払いにも、長時間労働の確認などの安全衛生にも関わる根幹なので、間延びさせずに早く固めます。1日を午前と午後に分けて催促すれば、さらに短くすることもできます。
勤怠は給与の計算のもとになるだけでなく、会社には、管理監督者を含むすべての従業員の労働時間を、タイムカードやパソコンの記録などの客観的な方法で把握する義務があります(労働安全衛生法66条の8の3)。把握のしかたは、厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」にまとまっています。締めの後の給与計算の流れは、次の記事にまとめています。
詳しく読む給与計算は毎月どう回す?前月のロックから振込までの流れと、目視に頼らない確かめ方サンプル: 勤怠の月次締めの催促(Googleのスプレッドシート)
この記事で紹介する仕組みそのものです。コピーして「① 準備」を押すと、必要なシートと、毎朝9時に動く仕組みができます。最初は、メールを送らずに記録だけ残すテストモードで動きます。本番での動作は保証しないので、自社で試してから使ってください。
催促の段取り
月次の締めは、本人の申請と上司の承認の2段で進む会社が多くあります。催促は、締めの日の翌日から数えて何営業日目かで、送る相手と言い方を変えます。労務側の期限を3営業日目にした場合の段取りです。
| 営業日 | 本人の申請がまだ | 上司の承認がまだ |
|---|---|---|
| 1日目 | 本人に「本日中に」 | 上司に「本日中に」 |
| 2日目 | 本人と上司の2人に「本日中に」 | 上司に「本日中に」 |
| 3日目 | 本人と上司に、状況の確認と返信をお願いする | 上司に、状況の確認と返信をお願いする |
| 4日目〜 | 件名を【至急】にし、その上の人をCCに入れる | 件名を【至急】にし、その上の人をCCに入れる |
2営業日目からは、本人と上司の2人を宛先にして、「〇〇さんの勤怠についてです」と書き出します。どちらか対応できるほうが返信してほしい、ということが自然に伝わります。チャットで送るなら、2人にメンションして同じように書き出します。労務側の期限を過ぎたら、件名を【至急】に変えて、その上の人(部門長や人事責任者)にも入ってもらいます。期限を過ぎたことが件名で分かるようにしておくと、受け取った側の対応が変わります。上司の承認で止まっている分と、残業申請などの承認待ちの申請は、上司だけに、上司ごとに1通にまとめて送ります。
労務の現場から
勤怠システムにもアラートやメールの通知の機能はありますが、システムから自動で届く通知は、見ない人が多いものです。労務の担当者からメールや個別のチャットが届くと、対応してくれる人が増えます。毎日の打刻漏れの通知はシステムの自動のままでもかまいませんが、月の締めのように大事なものは、送り元を担当者に変えます。サンプルのメールも、担当者のアカウントから送られます。
仕組みにすると、どれくらい楽になるか
50人の会社(上司は6人)で、毎月の締めの催促にかかる労務の担当者の手間を比べます。手で催促する場合は、締めの期限を5営業日目にし、勤怠システムの一覧を毎朝見て、終わっていない人に個別にメールを送る形を置いています。催促の回数や、一覧をどう確かめているかは会社ごとに違うので、自社の数字に置き換えて見てください。
| やること | 手で催促 | 仕組み |
|---|---|---|
| 終わっていない人と上司を確かめる | 50分 | 12分 |
| 催促のメールを書いて送る | 105分 | 10分 |
| 返信や行き違いを確かめる | 60分 | 30分 |
| 合計 | 約3時間35分 | 約50分 |
手で催促する場合は、1日目に全員への案内を1通送り、3〜5日目に個別のメールをのべ25通(1通4分。宛先の上司やCCを確かめる時間を含む)送る見込みです。仕組みにすると、メールの宛先と文面は仕組みが作るので、担当者は毎朝状況を貼り、強い言い方のメールに目を通すだけになります。返信への対応は仕組みにしても残りますが、本人と上司の2人に送るので、やり取りの往復が減ると見て半分にしています。
計算例: 時間の単価を1時間3,000円とした場合
手で催促: 約3時間35分 × 12か月 = 約43時間 → 約129,000円仕組み: 約50分 × 12か月 = 約10時間 → 約31,000円
1年で約33時間・約10万円の差です。仕組みを作る手間は、サンプルを使えば2〜3時間です。催促のメールと返信の数は人数に比例して増えるので、300人の会社なら、差は1か月で13時間ほどに広がります。
数字に出ない効果も、2つあります。1つは、給与計算に使える日数です。締めが5営業日目から3営業日目になると、給与計算に2営業日多く使えます。確かめる時間を取れるので、落ち着いて回せて、ミスも減ります。
労務の現場から
もう1つは、後追いの疲れです。手で催促していると、毎朝「誰がまだか」を気にし続け、同じ人に何度も送る文面を、角が立たないように考えることになります。この後追いの疲れは、時間よりも重くのしかかります。段取りと文面が決まっていて、仕組みが送ってくれるなら、担当者は言い方に悩まずに済みます。
締めの状況を取り出す
催促を自動にするには、誰の締めが終わっていないかを、勤怠システムから毎朝取り出す必要があります。取り出せる形は、システムによって違います。
| データの形 | サンプルでの扱い |
|---|---|
| 1人1行で、状態(未申請・承認待ち・完了など)が分かる | 状態の言葉を「本人の段階」「上司の段階」「完了」に対応づけて、上司の段階の人は上司だけに送る |
| 1人1行で、終わっていない人だけが出る(どちらの段階か分からない) | 本人の段階として扱う。2営業日目からは上司にも届くので、どちらで止まっていても対応できる |
| 未締めの人の一覧と、承認待ちの申請の一覧が別に出る | 2つを読み、承認待ちの申請は上司に回す |
たとえば、freee人事労務は管理者の勤怠一覧の「勤怠締め」の列で一人ずつの状態が見られ(freeeのヘルプ)、マネーフォワード クラウド勤怠は「承認申請」と「上長承認」の列で本人の段階か上司の段階かが分かります(マネーフォワードのヘルプ)。ジョブカン勤怠管理は、締めの前に「未承認一覧」や「打刻エラー一覧」で漏れを確かめる作りです(ジョブカンのヘルプ)。CSVで出せる項目は、契約や設定で変わることがあるので、自社の画面で確かめてください。
CSVで出せない場合は、画面の一覧をコピーしてシートに貼る形でもかまいません。勤怠システムのデータには、メールアドレスや上司が入っていないことが多いので、社員番号・氏名・メール・上司・その上の人を並べた名簿は、担当者が別に持ちます。APIで締めの状況を取れるシステムなら、毎朝の取り出しまで自動にできます。
Google版の作り方
サンプルを使う場合の手順です。会社のGoogle Workspaceのアカウントで行います。
- スプレッドシートをコピーする上のボタンからコピーします。コピーしてから1分ほどたって画面を読み込み直すと、上のメニューに「月締めの催促」が出ます。
- 「① 準備」を押して、権限を承認する初めて動かすときに、権限の承認を求められます。自社で使うスクリプトには「このアプリはGoogleで確認されていません」と出るので、「詳細」から先に進みます。設定・名簿・締めの状況・承認待ちの申請・休日・送信の記録のシートと、毎朝9時に動く仕組みができ、今年と来年の祝日が入ります。
- 「設定」シートを決める締め日(末日か、25日などの数字)、労務側の期限(営業日)、データの形、状態の言葉を入れます。メールの差出人の名前は、システムの通知と見分けがつくよう、担当者や部署の名前にします。
- 名簿と休日を入れる名簿に全員を入れます。「休日」シートに、年末年始など会社の休日を足します。
- 日付を変えて試す「今日の日付(テスト用)」に日付を入れて「② 今日の催促を作る」を押すと、その日に送るメールが「送信の記録」に並びます。「テストモード」を「自分あて」にすると、すべて自分に届くので、見た目も確かめられます。
- 本番に切り替える「今日の日付(テスト用)」を空にし、「テストモード」を「いいえ」にします。締めの期間中は、毎朝9時までに締めの状況をシートに貼るか、CSVを決めたフォルダに置きます。
労務側の期限の日からのメールは、すぐには送らず「確認待ち」にして、担当者が目を通してから「③ 確認待ちのメールを送る」で送る設定にしています。強い言い方のメールほど、送る前に人の目を通すと安心です。メールの宛先が名簿にない社員番号や、設定にない状態の言葉があれば、「送信の記録」にその旨を残します。
注意Googleの無料のアカウントでは、スクリプトから1日に送れるメールの宛先が100件までです(Google Workspaceは1,500件)。人数が多い会社は、会社のGoogle Workspaceで動かしてください(Apps Scriptの割り当て)。
MicrosoftやTeams・Slackでは
Microsoftの環境では、締めの状況のCSVをOneDriveかSharePointに置き、Power Automateで同じ流れを組めます。
| やること | 使う機能 |
|---|---|
| 毎朝動かす | Power Automateの「繰り返し」 |
| 営業日の数え方と送り分け | Excelに名簿・休日・締めの状況を置き、何営業日目か(WORKDAY関数など)と送る相手を計算する |
| メールで送る | Outlookで、本人と上司の2人を宛先にして送る |
| Teamsで送る | 本人と上司にメンションを付けて投稿する |
Slackで本人と上司に送るには、Slackのアプリ(ボット)を作り、2人を入れたメッセージに投稿します。サンプルのSlack・Teamsの設定は、チャンネルに「締めがまだの方は本日中に」という全体向けのお知らせを流すだけのものです。個人の名前はチャンネルに流しません。
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