勤怠管理システムはどう選ぶ?成り立ちで分かれる強みと、主要製品の料金・向いている会社
勤怠管理システム(勤怠システム)を入れたいけれど、比較サイトを見ても違いが分からない。そんな担当者や経営者に向けて、選ぶ前に決めることと、製品の成り立ちで分かれる強み、主要な製品の料金と向いている会社をまとめた記事です。料金は2026年10月時点で各社の公式サイトに載っているもの(税抜)です。
結論
勤怠管理システムは、シェアや機能の数ではなく、自社がシステムで何をしたいかと、従業員が迷わず打刻・申請できるかで選びます。製品は成り立ちによって強みが分かれるので、勤怠が主役の製品か、人事労務や会計・給与のシリーズの一部かを見て候補を3社ほどに絞り、締めの済んだ過去の1か月を再現して、実績と同じ集計が出るかを確かめてから決めます。給与計算と必ず同じシリーズにそろえる必要はありません。
選ぶ前に決めること
システムを選ぶ軸は「何をしたいか」です。締めを早くしたいのか、残業や有給の集計の転記をなくしたいのか、会社全体で働き方の情報をそろえたいのかで、重く見るところは変わります。あれもこれもと求めるより、「ここは諦めるが、今回の要望は必ず叶えられる製品にする」と決めておくと、比べるときに迷いません。
あわせて、自社の勤務のルールを書き出しておきます。標準の設定で回るか、設定の工夫が要るかは、このルールで決まるからです。
- 勤務の形(固定の時間、シフト制、変形労働時間制、フレックスタイム制)を書き出したか
- 拠点や雇用形態ごとに違うルールを書き出したか
- 締め日と、残業・休暇の申請と承認の流れを書き出したか
- 有給休暇の付与日の決め方(入社日ごとか、一斉に付与するか)を書き出したか
- 勤怠の結果を、どの給与計算ソフトにどの形で渡すかを確かめたか
従業員の使いやすさを先に見る
勤怠管理システムは、従業員が使いやすいものを選びます。打刻や申請を毎日するのは従業員で、打刻漏れや申請の遅れは、そのまま締めの遅れと担当者の修正作業になります。勤怠を早く正確に締められれば、その後の給与計算の確かめに時間を回せます。
勤怠管理システムには、従業員が打刻や申請をする画面と、担当者が集計や締めをする画面があります。比較表の機能一覧は担当者側に偏りがちなので、従業員側の画面は、無料のお試しで実際にスマートフォンやパソコンから触って確かめます。
労働時間の状況は、タイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法で把握することが会社の義務です(労働安全衛生法66条の8の3)。また、労働時間は1分単位で把握するのが原則で、毎日の打刻を15分単位などで切り捨てると、その分の賃金が未払いになります。1か月の時間外・休日・深夜の時間のそれぞれの合計に1時間未満の端数があるとき、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる方法は認められています。認められている方法との違いは次の記事で説明しています。システムの端数処理の設定が「日ごと」か「月の合計」かは、必ず確かめます。
詳しく読む残業代の計算方法は?割増率と1時間あたりの単価、間違えないための確かめ方成り立ちで強みが分かれる
労務の現場から
システムはどれも一長一短です。勤怠管理から始まってほかの機能を足していった製品は勤怠が強く、人事管理のシステムに勤怠の機能を付けた製品は勤怠の機能が薄めになる、というように、成り立ちによって特色が出やすくなります。もちろん例外もあり、会社の規模や運用によって合う製品は変わるので、決め打ちで勧められる製品はありません。
勤怠・人事・給与を、必ず1つのシステムにまとめる必要もありません。人事の基幹と給与計算がしっかりつながっていれば、勤怠は別の製品のまま、CSVで給与に取り込む形でも十分に回ります。現場が使い慣れた勤怠のシステムを、連携のためだけに入れ替えるのは本末転倒です。
この見方で、主な製品を3つの型に分けると次のようになります。型は製品の今の提供のされ方で分けたもので、優劣ではありません。
| 型 | 主な製品 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 勤怠が主役 | ジョブカン勤怠管理、KING OF TIME、HRMOS勤怠、楽楽勤怠、TeamSpirit、TimePro-VG | 勤務の形が多い、打刻の方法を選びたい、勤怠の設定の細かさを重く見る |
| 人事・労務の一部 | SmartHR、ジンジャー勤怠、freee人事労務、カオナビ | 従業員の情報や入退社の手続き、評価と、勤怠を1か所で管理したい |
| 会計・給与の一部 | マネーフォワード クラウド勤怠、奉行Edge 勤怠管理クラウド | 同じシリーズの会計・給与計算ソフトをすでに使っている、使う予定がある |
人事・労務や会計・給与の一部として勤怠を選ぶときは、勤怠の設定が自社のルールに足りるかを、勤怠が主役の製品と並べて比べます。給与計算ソフトが先に決まっている会社は、そのソフトが勤怠のデータをどの形式で受け取れるかを確かめたうえで、勤怠は従業員の使いやすさで選びます。
打刻と実態のずれへの備え
比較の資料では、パソコンのログと打刻の時刻のずれ(乖離)を見つける機能が強調されることがあります。この機能をどこまで重く見るかも、選ぶ前に決めておきたい点です。
労務の現場から
打刻と実際の働き方のずれは、ログを取って取り締まる問題ではなく、会社のあり方の問題です。従業員が自分の判断で退勤の打刻をしてから仕事を続ける「隠れ残業」は、多くの場合、会社が残業に過度な縛りをかけているサインです。「残業を申請しにくい」「残業が多いと評価が下がる」という空気がなければ、ずれはそうそう起きません。
実務の感覚では、労働基準監督署の通常の調査で、パソコンのログと打刻のずれまで細かく確かめられることは多くありません。問題になるのは、従業員からの申告など個別の疑いがあり、事案として調べられる場面です。ログが要るのは、株式の上場の審査やM&Aの労務の調査、特定の部署や人に長時間労働や未払いの疑いが出たときなど、目に見える証拠が求められる場面だと考えてよいでしょう。
一方で、会社には労働時間を客観的な方法で把握する義務があります。厚生労働省のガイドラインでは、自己申告で時間を把握している場合に、入退場の記録やパソコンの使用時間の記録と申告の時間に著しいずれがあるときは、実態を調べて時間を直すよう求めています。また、申告できる残業時間に上限を設けるなど、正しい申告を妨げる扱いをしてはならないとしています。ずれを見つける機能は、必要になったときに足せるかを確かめておき、まずはずれが起きない職場づくりを先にします。
主要製品の料金と特徴
中小企業での利用が多く、公式サイトで料金や機能を確かめられる製品を選んでいます。料金は2026年10月時点の公式サイトの表示(税抜)で、変わることがあるので、申し込みの前に公式サイトで確かめてください。
| 製品 | 月額の目安 | 無料・お試し |
|---|---|---|
| ジョブカン勤怠管理 | 1人200〜500円(使う機能の数による)。最低2,000円 | 無料プラン・30日間のお試し |
| KING OF TIME | 1人300円(人事労務・給与計算の機能を含む) | 30日間の無料体験 |
| HRMOS勤怠 | 有料プランは1人100円〜。最低3,000円 | 30名以下は無料プラン |
| 楽楽勤怠 | 30,000円〜 | 公式サイトで確認 |
| TeamSpirit | 24,000円〜(50名分を含む)。初期費用は別 | 公式サイトで確認 |
| TimePro-VG(アマノ) | 3つのプランから選ぶ(問い合わせ) | デモの依頼 |
| SmartHR | 勤怠管理は有料オプション(見積) | 15日間の無料トライアル |
| ジンジャー勤怠 | 製品ごとに1人300円〜 | 1か月の無料トライアル |
| カオナビ | 勤怠管理は選べる機能の1つ(見積) | 無料トライアルあり |
| freee人事労務 | 打刻はスタンダード以上。年払い4,000円〜(5名込み) | 公式サイトで確認 |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | 年払い2,480円〜(人数はプランによる) | 1か月無料 |
| 奉行Edge 勤怠管理クラウド | 13,080円〜(従業員20名分〜、年間契約) | 公式サイトで確認 |
ジョブカン勤怠管理
出勤管理・シフト管理・休暇申請管理・工数管理の4つの機能から、必要なものだけを選んで契約できます。1機能なら1人月200円で、1機能足すごとに100円上がり、4機能すべてで500円です。月額の最低料金は2,000円で、毎月の登録ユーザー数が請求の対象になります。まず出勤管理だけを安く始めたい会社に向きます(公式サイトの料金)。
KING OF TIME
1人月300円の1つの料金で、勤怠管理に加えて人事労務・給与計算・データ分析の機能まで使えます。初期費用は0円で、1名から使えます。打刻の方法の選択肢が多く、店舗や工場など打刻の環境がさまざまな職場でも合わせやすい製品です。パソコンのログオン・ログオフを使った打刻や、打刻と勤怠の実績の差を見る機能もあります。電子契約は別料金のオプションです(公式サイトの料金)。
HRMOS勤怠
登録人数が30名以下なら、無料プランで使い続けられます。無料プランはデータの保存期間が1年などの制限があり、有料プランは1人月100円からで、最低料金は月3,000円です(公式サイトの料金)。無料プランで続ける場合は、出勤簿などの記録の保存期間(労働基準法で5年、当分の間は3年)に注意し、データを定期的に出力して保管します。
楽楽勤怠
会社独自のルールに合わせた設定と、専任の担当が初期設定を支援する体制を強みにしています。料金は月30,000円からで、勤怠のデータはCSVで給与計算ソフトに渡せます。独自のルールが多く、設定を自社だけで組み切る自信がない会社の候補です(公式サイト)。
TeamSpirit
勤怠に工数管理・経費精算を組み合わせて使える製品です。勤怠の最低月額は24,000円からで、50名分のライセンスを含み、初期費用は別にかかります。プロジェクトごとの工数まで管理したい会社や、勤怠と経費をまとめたい会社に向きます(公式サイトの料金)。
TimePro-VG(アマノ)
タイムレコーダーで知られるアマノの、中堅〜大手企業向けの勤怠管理システムです。クラウドとオンプレミス(自社のサーバー)のどちらにも対応し、変形労働時間制・フレックスタイム制・シフト勤務などの複雑な勤務、時間外の上限や有給の取得義務の段階的なアラート、パソコンのログと出退勤のずれの確認などを標準の機能として備えています。タイムレコーダーへの設定の送信にも対応し、導入では専任のSEが要件の整理から本稼働まで支援します。料金は3つのプランから選ぶ形で、問い合わせで決まります(公式サイト)。交替制など勤務の形が複雑で、タイムレコーダーと組み合わせたい会社の候補です。
SmartHR
従業員の情報や入退社の手続きで使われる人事労務システムに、有料オプションとして勤怠管理を加える形です。料金は見積制で、30名までの小規模事業者向けの¥0プランや、15日間の無料トライアルもあります(公式サイトの料金、勤怠管理の機能)。すでに従業員の情報をSmartHRで管理している会社なら、情報を二重に持たずに済みます。
ジンジャー勤怠
人事のデータベースと一体になった勤怠管理システムです。料金は「使う製品×人数」で決まり、1人月300円からです(製品ごとの額は公式サイトの料金表の資料で確かめます)。勤怠と人事の情報をまとめて管理したい会社の候補です(公式サイトの料金、勤怠の機能)。
カオナビ
人事評価や人材の情報の管理(タレントマネジメント)で知られる製品で、従業員のデータベースに、勤怠管理(打刻・シフト・年休の管理など)や労務管理(電子申請・年末調整・給与明細など)の機能を選んで足す形です。料金は「従業員データベース+選んだ機能×利用人数」で決まる見積です。評価や人材の情報と勤怠を1か所で持ちたい会社の候補で、勤怠の設定が自社のルールに足りるかは、勤怠が主役の製品と並べて確かめます(公式サイトの料金)。
freee人事労務
勤怠から給与計算・年末調整・入退社の手続きまでを1つの製品で扱えます。注意したいのは、従業員が自分で打刻する機能とワークフローは、スタンダードプラン(年払いで月4,000円、5名込み、追加1人800円)以上でしか使えないことです。料金表の一番安いプランだけを見て選ばないようにします(公式サイトの料金)。
マネーフォワード クラウド勤怠
会計・給与などのマネーフォワード クラウドのシリーズの勤怠管理です。50名以下向けのプランは年払いで月2,480円(1名)からで、ビジネスプランは月6,480円(5名込み、6名から1人300円)です。51名以上向けには見積制の「クラウド勤怠Plus」があります。同じシリーズの給与計算との連携を重く見る会社に向きます(公式サイトの料金)。
奉行Edge 勤怠管理クラウド
給与計算ソフト「給与奉行」のOBCの勤怠管理システムです。料金は月13,080円から(従業員20ライセンス〜)で、年間契約です。シフト管理を加えたモデルもあります。給与奉行をすでに使っている会社のように、給与計算ソフトが先に決まっている場合に有力な候補になります(公式サイトの料金)。
料金で見落としやすい点
1人あたりの単価だけで比べると、実際の支払いの額や、使える機能を見誤ることがあります。
| 確かめること | 差が出る理由 | 例 |
|---|---|---|
| 最低料金 | 人数が少ないと、単価×人数より最低料金のほうが高くなる | ジョブカン2,000円、HRMOS勤怠の有料プラン3,000円 |
| 含む人数 | 基本料金に何人分が含まれ、超えた分がいくらか | TeamSpiritは50名分、奉行Edgeは従業員20ライセンスから |
| 使える機能 | 打刻やシフト管理が上のプランやオプションにしかないことがある | freee人事労務の打刻はスタンダード以上 |
| 契約期間 | 年間契約だと、途中で人数を減らしても料金が下がらないことがある | 年払い・年間契約の製品 |
過去の1か月で確かめる
候補を絞ったら、契約の前に、自社の勤務で本当に回るかを確かめます。
労務の現場から
導入で時間がかかるのは、設定と、その設定が正しいかの検証です。説明を聞きながら「うちのこのケースはどうなるのか」と質問できるよう、書き出した自社のルールを1つずつ当てはめて確かめます。
お試しの期間は、現場の従業員に試しに打刻してもらう方法がよく紹介されますが、協力をお願いする手間がかかるうえ、答え合わせの基準がありません。締めの済んだ過去の実績を使えば正解が分かっているので、ずれたところがそのまま設定の足りないところや、その製品では対応しにくいルールだと分かり、検証がずっと早く終わります。自社で一番ややこしい月が再現できれば、ほかの月で困ることはまずありません。
- 候補を3社ほどに絞る3つの型から、自社のやりたいことに合う製品を選びます。
- 同じ質問を送る下の質問を、各社の問い合わせのフォームに同じ言葉で送ります。
- 過去の1か月を再現する締めの済んだ月の打刻と申請をそのまま入れ、労働時間・残業・深夜・休日の時間と有給の日数が、実際に給与計算に使った実績と合うかを確かめます。
- 給与計算ソフトへの受け渡しを試す集計の結果を出力し、給与計算ソフトに取り込める形かを確かめます。
再現に使う月は、変形労働時間制やシフトの変更、深夜勤務や休日出勤があった月などから選びます。合わないところが出たら、設定で直るのか、製品として対応できないのかを問い合わせます。問い合わせでは、次の点を各社に同じように聞きます。
- 従業員は◯名(うちパート・アルバイト◯名)です。初期費用と月額の総額はいくらですか。最低料金や最低の契約期間はありますか
- 当社の勤務の形(シフト制、1か月単位の変形労働時間制、複数の拠点など)に、標準の機能で対応できますか
- 残業時間の端数の処理は、1か月の合計で設定できますか
- 当社の給与計算ソフト(◯◯)へ、勤怠のデータをどの項目まで、どの形式で渡せますか
- 初期設定の支援はどこまで含まれますか。追加の費用はかかりますか
- お試しの期間に設定した内容やデータは、契約後もそのまま使えますか
勤怠を含めたシステム化の順番や、給与・電子契約との組み合わせ方は、次の記事にまとめています。
詳しく読む人事労務システムは何から入れる?勤怠・給与・電子契約の導入順と選び方、準備期間の見積もり 詳しく読む給与計算ソフト・人事労務システムはどう選ぶ?年末調整と入退社の手続きまで1つで回るかで比べる主要製品と料金労働時間の把握の考え方と、自己申告と記録のずれの扱いは、厚生労働省の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインと労働安全衛生法の改正(労働時間の状況の把握)、記録の保存期間は未払賃金が請求できる期間などの延長のリーフレットで確かめられます。
更新履歴
- 2026年10月7日: 公開