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給与計算・賞与

給与の源泉徴収税額はどう求める?月額表の甲欄・乙欄の引き方と、臨時手当・扶養の変更の扱い

毎月の給与から引く所得税(源泉所得税)を、税額表でどう求めるかをまとめた記事です。甲欄・乙欄の決め方、扶養親族等の数え方、社会保険料などを引いた後の額で表を引く手順を、1人分の計算例で確かめます。臨時の手当を出す月の扱いと、納付の期限、令和9年分からの税額表の改正もあわせて整理します。

結論

毎月の給与の源泉所得税は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で求めます。扶養控除等申告書を出している人は甲欄、出していない人は乙欄を使い、通勤手当などの非課税分と社会保険料などを引いた後の額と、扶養親族等の数で税額を引きます。引いた税は、給与を払った月の翌月10日までに納めます。

毎月の源泉徴収の流れ

源泉徴収は、会社が給与を払うときに所得税をあらかじめ引いて、本人に代わって国に納める仕組みです。毎月引く額は、1年分の税額の見込みにあたるもので、年末調整で1年分の正しい税額と比べて精算します。毎月の作業は、次の順に進みます。

  1. 扶養控除等申告書を受け取る入社時・年初本人から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を受け取ります。家族の状況が変わったときは、その後の最初の給与の前までに出し直してもらいます。
  2. 甲欄か乙欄かを決める申告書の有無で、税額表のどの欄を使うかが決まります。
  3. 扶養親族等の数を数える申告書の内容から、甲欄で使う人数を決めます。
  4. 税額表に当てはめる額を出すその月の給与から、通勤手当などの非課税分と、社会保険料・雇用保険料を引きます。
  5. 月額表で税額を引く4の額が入る行と、3の人数の列が交わるところが、その月の税額です。
  6. 翌月10日までに納める翌月10日全員分を合計し、給与を払った月の翌月10日までに納めます。

労務の現場から

給与計算ソフトや人事労務のシステムを入れていれば、税額の計算そのものは要りません。甲欄・乙欄の選択も、扶養親族の判定も、家族の収入を入力すれば、要件を超えている人は「扶養に入れられない」「対象外」とシステムが知らせてくれます。担当者は、税額表の具体的な金額に時間をかけるより、申告書の情報を正しく集めて入力することに力を使えます。

この記事の手順と計算例は、ソフトが中で何をしているかを知り、出てきた結果がおかしくないかを確かめるためのものです。

甲欄か乙欄かを決める

税額表の欄は、その会社に扶養控除等申告書を出しているかどうかで決まります。申告書は、給与を受け取る会社のうち1か所にしか出せないため、ほかに主な勤め先がある人(副業で働く人など)は乙欄になります。

従業員の副業・兼業を認めるときに会社が決めておくことは、副業・兼業の記事にまとめています。

税額表の欄の決め方(月給の場合)
場面使う欄補足
申告書あり甲欄扶養親族等の数で税額が変わる。年末調整の対象
申告書なし乙欄甲欄より税額が高い。年末調整はしない
日雇い日額表の丙欄同じ会社から続けて2か月を超えて払う分には使わない

甲欄では、令和8年分の月額表で社会保険料などを引いた後の額が105,000円未満なら、税額は0円です。乙欄は、その額が105,000円未満でも3.063%の税がかかります。パートやアルバイトでも、申告書を受け取っていなければ乙欄で引くことになるので、入社のときに必ず受け取ります。

労務の現場から

扶養控除等申告書は、入社手続きを終えれば、そのまま出来上がる仕組みにしておくのが大切です。年末調整のときも、システムなら本人には確認のボタンを押してもらうだけ、紙なら会社で分かることをすべて書いた状態で渡して確認だけしてもらう形にします。申告書は書類のやり取りが煩雑になりやすいので、年末調整に対応したシステムを入れることを強く勧めます。

扶養親族等の数え方と変更

甲欄の「扶養親族等の数」は、次のように数えます(令和8年分の税額表の説明による)。所得の要件は、その年の所得の見積額で見ます。

扶養親族等の数に入るもの
対象数え方
配偶者生計を一にする配偶者で、源泉控除対象配偶者(本人の所得が900万円以下、配偶者の所得が95万円以下)なら1人
16歳以上の家族生計を一にする控除対象扶養親族(所得58万円以下)1人ごとに1人
19〜22歳の家族特定親族のうち、所得100万円以下なら1人
本人障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たるごとに1人を加える
障害のある家族同一生計配偶者や扶養親族(16歳未満を含む)が障害者・同居特別障害者に当たるごとに1人を加える

16歳未満の子どもは、障害者に当たる場合を除いて数に入りません。結婚や出産、家族の就職などで数が変わるときは、本人から異動の申告書を出してもらい、その後の最初の給与から人数を直します。

注意令和8年度の税制改正で、扶養親族の所得の要件が58万円以下から62万円以下になりました。令和8年分の源泉徴収では、この改正は令和8年12月1日以後に払う給与から使います。改正で新たに扶養親族になる家族がいる人は、異動の申告書を出してもらう必要があります。

計算例: 月額表で税額を引く

次の計算例は、東京都の会社で協会けんぽに加入する39歳以下の人の場合です(保険料率は令和8年度、税額は令和8年分の月額表)。月給は基本給30万円と通勤手当1万円、標準報酬月額は32万円とします。

計算例: 基本給30万円・通勤手当1万円の人の源泉所得税

社会保険料など: 健康保険15,760円 + 子ども・子育て支援金368円 + 厚生年金29,280円 + 雇用保険1,550円 = 46,958円 税額表に当てはめる額: 310,000円 − 10,000円(通勤手当)− 46,958円 = 253,042円 月額表の「251,000円以上254,000円未満」の行 → 甲欄・扶養0人なら6,220円

雇用保険料は、通勤手当を含めた31万円に本人負担の5/1000を掛けて出します。

同じ行でも、欄と人数で税額は大きく変わります。表に当てはめる額を間違えたときも、税額がずれます。

計算例の人の税額(令和8年分の月額表)
場面当てはめる額税額
甲欄・0人253,042円6,220円
甲欄・1人253,042円4,590円
甲欄・2人253,042円2,980円
乙欄253,042円36,600円
通勤手当を引き忘れ263,042円6,650円
保険料を引き忘れ300,000円7,930円

扶養の人数が1人違うと、毎月1,600円前後ずれます。給与計算ソフトでは、人数・欄・非課税の手当の設定が正しければ税額は自動で出るので、確かめるのは計算そのものより、この3つの設定です。

臨時の手当は賞与として扱う

決算のときの手当や特別な手当のように、臨時に払う手当は、多くの場合、月額表ではなく賞与として源泉徴収します。所得税の通達では、賞与を「定期の給与とは別に払う給与で、賞与・ボーナス・期末手当などの名目で払うもの、その他これらに類するもの」としています。性質がはっきりしないときは、次のものを賞与とします。

臨時に払う手当の源泉徴収の扱い
手当の決まり方扱い通達での考え方
名目が賞与など賞与賞与・ボーナス・期末手当などの名目
利益で額が決まる賞与純益を基準として払う
額を決めずに払う賞与支給額や支給の基準の定めがない
時期を決めずに払う賞与支給の時期の定めがない(雇用契約そのものが臨時の場合を除く)
規程どおり毎月払う毎月の給与定期の給与として、その月の給与に含めて月額表で引く

労務の現場から

臨時の手当が出た月の課税の処理は、毎月の計算で判断が要る場面の1つです。今は、臨時の手当はほとんどが賞与として扱う必要があると考えておくほうが安全です。毎月の給与に混ぜて税を軽く済ませるようなことはできないので、後から問題になるよりも、払う時点できちんと課税しておくほうが賢明です。

賞与として源泉徴収するときは、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使い、税率は前月の給与(社会保険料などを引いた後の額)と扶養親族等の数で決まります。前月の給与の処理に不備があると賞与の税率までずれ、計算をやり直すことになるので、前月の計算を正しく終えておくことが前提です。社会保険料での「賞与」は年3回以下かどうかで決まる別の基準で、計算のしかたとあわせて次の記事にまとめています。

詳しく読む賞与から引く社会保険料・源泉所得税の計算方法は?1人分の計算例と、退職・休業する人の扱い

納付の期限と納期の特例

引いた源泉所得税は、給与を実際に払った月の翌月10日までに納めます。「何月分の給与か」ではなく「いつ払ったか」で期限が決まるので、月末締め・翌月払いの会社では、支給日の翌月10日が期限です。期限が土日・祝日なら、休日明けの日が期限になります。

源泉所得税を納める期限
納め方期限条件
原則給与を払った月の翌月10日なし
納期の特例1〜6月に引いた分は7月10日、7〜12月に引いた分は翌年1月20日給与を払う人が常時10人未満で、税務署に申請書を出す

納期の特例は、申請書を出した月の翌月末日に承認されたものとみなされ、翌月に引く税から使えます。年2回にまとめられる分、半年分の税額を納付の月まで確実に取り分けておく必要があります。

令和9年分からの税額表の改正

令和8年分の給与には令和8年分の税額表を使います。令和8年度の税制改正で基礎控除などが引き上げられましたが、令和8年11月までの給与の源泉徴収は変わらず、引き上げの分は令和8年12月の年末調整で精算します。

令和9年1月以後に払う給与は、改正された令和9年分の税額表を使います。月額表の甲欄で税額が0円になる額は、111,000円未満に変わります。上の計算例の人(扶養0人)の税額は、6,220円から6,040円になります。また、令和9年1月から防衛特別所得税(所得税の1%)が始まり、復興特別所得税は2.1%から1.1%に下がります。合計の税率は変わらないため、源泉徴収の計算のしかたは変わりません。

  • 給与計算ソフトの税額表が、令和9年分に切り替わっているか
  • 切り替わった後の最初の給与で、何人かの税額を令和9年分の月額表と突き合わせたか
  • 12月1日以後の扶養の要件の改正で、異動の申告書が必要な人に声をかけたか

毎月の源泉徴収の過不足は、年末調整でまとめて精算します。年末調整の段取りは次の記事に、給与計算の1か月の流れは給与計算の実務の記事にまとめています。

詳しく読む年末調整はいつから何をする?10月の事前確認から1月の提出まで、担当者の段取り

税額表は国税庁の令和8年分 源泉徴収税額表と令和9年分 源泉徴収税額表、扶養親族等の数え方は給与所得の源泉徴収税額の求め方(令和8年分)、申告書の出し方は給与所得者の扶養控除等の(異動)申告、改正の内容は源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)で確かめられます。賞与の定義は所得税基本通達183-1の2、納付は源泉所得税の納期の特例、賞与の計算は賞与に対する源泉徴収を見てください。個別のケースで判断に迷うときは、税務署や税理士に確認するのが確実です。

更新履歴

  • 2026年10月1日: 公開