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外国人を雇うときは何を確かめる?在留カードの見方から届出、在留期限の管理、育成就労まで

初めて外国人を雇う会社や、雇い始めたばかりの会社の担当者・経営者に向けて、採用から退職までに会社が確かめることと、届け出ることをまとめた記事です。外国人の雇用で日本人と違うのは、主に在留資格の確認と在留期限の管理です。どの在留資格でどんな仕事ができるかを正しく押さえれば、必要以上に構えることはありません。一方で、確認を怠ったときの責任は会社が負います。その両方を、実務の順番にそって説明します。

この記事で分かること

  • 外国人を雇うときに会社が負う責任と、不法就労助長罪
  • 在留カードで確かめる欄と、新しい様式のカードの見方
  • 在留資格ごとに働ける範囲(資格外活動の週28時間を含む)
  • 入社・退職のときの外国人雇用状況の届出
  • 在留期限の更新を間に合わせるための管理のしかた
  • 技能実習・特定技能と、2027年4月に始まる育成就労の違い

採用から退職までの流れ

外国人を雇うときの手続きの多くは、日本人と同じです。違うのは、採用前の在留資格の確認、入社・退職のときの届出、在職中の在留期限の管理の3つです。

  1. 在留資格と働ける範囲を確かめる採用を決める前在留カードで、在留資格・在留期間の満了日・就労制限の有無・資格外活動許可を確かめます。任せる仕事が、その在留資格で認められた範囲に入るかも確かめます。
  2. 雇用契約を結び、入社の手続きをする入社まで労働条件は日本人と同じルールで決めます。社会保険・雇用保険の手続きもふだんどおりです。
  3. 外国人雇用状況の届出をする入社の翌月10日まで(雇用保険に入る人)雇用保険に入る人は、資格取得届に在留資格などを書けば届出を兼ねられます。
  4. 在留期限を管理する在職中満了日の半年前から更新の話を始め、余裕を持って申請してもらいます。
  5. 退職のときも届け出る退職の翌日から10日以内(雇用保険に入る人)雇用保険の資格喪失届で、離職の届出を兼ねます。

会社が負う責任を先に押さえる

労務の現場から

前提として、働くことが認められていない外国人を雇った場合、責任を問われるのは会社です。本人がどう説明していたか、どういう経緯だったかは通用しません。雇ったのは会社だからです。外国人を雇うときは、まずこのリスクを防ぐ覚悟を持って臨みます。

とはいえ、肩ひじを張る必要はありません。日本人の雇用と違うのは、在留カードと在留資格の確認です。正しい在留資格を持っていれば、それ以上に特別に気にすることは多くありません。どの在留資格でどう働けるかを、正しく理解しておくことが大切です。

働くことが認められていない外国人を働かせた会社や、それをあっせんした人は、不法就労助長罪の対象になります。外国人が不法就労に当たると知らなかった場合でも、在留カードを確かめていないなど過失があれば処罰を免れません。罰則は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(両方が科されることもあります)です。2027年4月1日からは、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられます。

不法就労に当たるのは、次の3つの場合です。

  • 在留期間を過ぎて残っているなど、日本にいる資格がない人が働く場合
  • 留学生などが、資格外活動の許可を受けずに働く場合
  • 働ける在留資格の人が、認められた範囲を超えて働く場合(許可された時間を超えて働く留学生や、専門職として認められた人が別の仕事をする場合など)

労務の現場から

賃金を比べて安く済みそうだから、といった気軽な理由で外国人を雇うことは、あまりおすすめしません。ある国に思い入れがある、その国の人たちの力になりたいなど、何かしらの強い意志がないと続きにくいからです。外国人の雇用は、日本人を雇うときより確かめることが多く、会社が負う責任も大きいことを、先に理解しておきます。

在留カードで確かめること

在留カードは、日本に中長期で住む外国人に交付されるカードです。採用を決める前に、本人の同意を得て在留カードの提示を受け、次の欄を確かめます。

在留カードで確かめる欄
欄確かめること
在留資格任せる仕事が、その在留資格で認められた範囲に入るか
在留期間の満了日入社日に有効か。満了日が近ければ、更新の予定はどうか
就労制限の有無「就労不可」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」「就労制限なし」のどれか
資格外活動許可就労不可の在留資格の人(留学生など)を雇う場合に、許可があるか(裏面などに記載)

2026年6月14日から、新しい様式の在留カードと、マイナンバーカードと一体になった特定在留カードの交付が始まりました。新しい様式では、券面から「在留期間」(何年の許可か)、「許可の種類」、「許可年月日」、「交付年月日」が消え、カードのICチップにだけ記録されます。上の表の4つの欄は、新しい様式でも券面に書かれています。以前の様式のカードも、引き続き有効です。

偽造を見分けるために、アプリと失効照会を使う

在留カードには偽造防止の加工がされていますが、精巧な偽造カードや、他人の有効なカード番号を使った偽造も見つかっています。そこで、目で見るだけでなく、出入国在留管理庁が無料で配っている「在留カード等読取アプリケーション」でICチップの情報を読み取り、券面と同じかを確かめます。新しい様式のカードで券面から消えた「在留期間」なども、最新版のアプリで確かめられます。あわせて、「在留カード等番号失効情報照会」で、カードの番号が失効していないかも確かめます。アプリから照会もできます。

確かめたら、確かめた日と結果を記録し、カードの写しやアプリの読み取り結果を保存しておきます。会社が確認の手順を踏んだことを、後から示せるようにするためです。なお、パスポートや在留カードの原本を会社が預かることは、厚生労働省の指針でしないこととされています。

注意悪意を持って作られた偽造カードを、会社が完全に見分けることはできません。それでも、アプリと失効照会という決められた確認の手順を毎回踏むことが、会社としてできる最低限の備えです。

働ける範囲は在留資格で決まる

在留資格は、大きく4つに分けて考えると整理しやすくなります。

在留資格と働ける範囲
区分主な在留資格働ける範囲
身分にもとづく資格永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者制限なし(日本人と同じ)
働くための資格技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、技能実習などその在留資格で認められた仕事だけ
特定活動ワーキング・ホリデーなどパスポートに付く指定書に書かれた範囲
働けない資格留学、家族滞在、短期滞在など原則として働けない(資格外活動許可があれば、その範囲で働ける)

迷いやすいのは「働くための資格」です。たとえば、技術・人文知識・国際業務の人は、大学などで学んだ専門分野に関わる仕事のために許可を受けています。同じ人に、許可の範囲から外れた現場の作業を中心に任せると、不法就労になるおそれがあります。採用のときは、任せる仕事の中身を具体的に書き出し、在留資格の範囲に入るかを確かめます。迷うときは、出入国在留管理庁や、申請の取次ぎを行う行政書士に確かめます。

留学生・家族滞在の人は週28時間まで

留学生や家族滞在の人は、資格外活動の許可(包括許可)を受けていれば、原則として1週28時間以内で働けます。留学生は、学校が定める長期休業の期間に限り、1日8時間以内まで働けます。風俗営業の店舗では働けません。

28時間は、ほかのアルバイト先と合わせた時間です。本人がほかでも働いていないかを採用のときに確かめ、シフトを組むときに週の合計が超えないように管理します。

入社・退職のときの届出

外国人を雇い入れたときと、離職したときは、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」をします。特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の人は対象外です。届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。

外国人雇用状況の届出のしかた
対象届け出る書類期限
雇用保険に入る人雇用保険の資格取得届・資格喪失届に、在留資格・在留期間・在留カード番号などを書く(届出を兼ねる)入社: 翌月10日まで
退職: 翌日から10日以内
雇用保険に入らない人外国人雇用状況届出書入社・退職とも翌月の末日まで

雇用保険に入らない短時間のアルバイトの留学生なども、届出の対象です。届出を忘れやすいのはこちらなので、雇用保険に入らない外国人を雇ったときの手順を決めておきます。

労働条件は、日本人と同じルールで決めます。国籍を理由に、賃金や労働時間などの労働条件で差をつけることは労働基準法で禁じられています。最低賃金、社会保険・雇用保険の加入、年次有給休暇も、日本人と同じ基準で当てはめます。厚生労働省の指針では、労働条件を母国語ややさしい日本語など、本人が理解できる方法で示すよう努めることも定められています。

詳しく読む入社手続きは何をいつまでに?内定から試用期間まで、労働条件通知書兼雇用契約書で回す段取り 詳しく読む社会保険の資格取得届・喪失届はいつまでにどこへ?入社・退職の手続きの早見表と段取り

在留期限の管理は2か月前の申請を目安に

在留期間の更新の申請は、6か月以上の在留期間を持つ人なら、満了日の3か月前からできます。満了日までに申請していれば、審査の結果が満了日までに出なくても、結果が出る時か満了日から2か月が過ぎる時の早いほうまでは、それまでの在留資格のまま働き続けられます(特例期間)。満了日を過ぎてしまうと在留資格がなくなり、原則として更新の申請はできなくなります。

労務の現場から

在留期限が切れていないかの確認と更新は、とても大切です。かなり前、半年前くらいから話をし続けても、なぜか本人が期限ぎりぎりに入管へ行くケースが多くあります。とにかく月に1回はリマインドし、1か月を切ったら「いつ行くのか」を早めに聞き取ります。

行ってみたら書類に不備があった、という例も少なくありません。不備を直す時間を残すためにも、満了日の2か月前くらいには本人が申請を済ませておくことが大事です。

この管理を、手順にすると次のようになります。

  1. 満了日を管理の一覧に入れる入社時・更新のたび人事労務のシステムや一覧表に、在留資格と満了日を登録します。更新が許可されたら、新しいカードを確かめて満了日を書き換えます。
  2. 更新の予定を本人と話す満了日の半年前更新する予定か、必要な書類で会社が用意するもの(在職証明など)はあるかを確かめます。
  3. 毎月リマインドする申請が済むまで毎月申請できるのは満了日の3か月前からです。それまでに書類をそろえておくよう伝えます。
  4. 申請を済ませてもらう満了日の2か月前まで申請した日を聞き取り、記録します。不備で差し戻されても、直す時間が残ります。
  5. まだなら日程を聞き取る満了日まで1か月を切ったらいつ行くのかを具体的な日で聞き、その日の後に結果を確かめます。

働く期間の見通しと、言葉の準備

採用のときには、本人がこの先も日本に住み続けるつもりか、一定の期間で帰国するつもりかも聞いておきます。一定の期間で帰るつもりの人は、これから日本に住もうとしている人より、在留期限や帰国の時期など、会社が気をつけることが増えます。

あわせて、社内に英語などで本人とやり取りできる人がいるか(担当者自身を含めて)も、外国人を雇う前に考えておきます。期限の管理や手続きの説明を本人に伝えられないと、運用が回らなくなるからです。

技能実習・特定技能・育成就労の違い

人手不足の分野で外国人を受け入れる制度には、技能実習と特定技能があります。技能実習は、2027年4月1日から育成就労という新しい制度に置き換わります。

受け入れの制度の違い
項目技能実習育成就労(2027年4月から)特定技能1号
目的技能の移転による国際貢献人手不足の分野での人材の育成と確保人手不足の分野での即戦力の確保
期間最長5年原則3年(特定技能1号の水準まで育てる)通算5年まで
転籍・転職原則としてできない一定の要件のもとで本人の意向で転籍できる同じ分野の中などで転職できる
会社を支える機関監理団体監理支援機関(許可制)登録支援機関(支援の委託先)

特定技能1号の人を雇う会社には、生活のオリエンテーションや相談への対応など、仕事と生活の支援が義務づけられています。支援は登録支援機関に委託できます。熟練した技能を持つ人向けの特定技能2号には、在留期間の更新の上限がありません。受け入れできる分野は見直しが続いているので、出入国在留管理庁の最新の一覧で確かめます。

育成就労が始まった後も、2027年4月1日の時点で技能実習を行っている人は、そのまま技能実習を続けられます。要件を満たせば、次の段階の技能実習へ進むこともできます。技能実習生を受け入れている会社は、監理団体が監理支援機関の許可を受ける予定かを確かめておきます。

確認の手順を決めておけば怖くない

外国人の雇用は、仕組みがかなり整ってきていて、海外から来て働く人も増えています。必要以上に慌てることはありません。採用前に在留カードと働ける範囲を確かめ、入社・退職のたびに届け出て、在留期限は2か月前の申請を目安に毎月追いかける。この手順を決めて毎回同じように回すことが、会社の責任を果たす一番の近道です。

制度の中身は、次の一次情報で確かめられます。在留カードの確認は出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会、新しい様式のカードは特定在留カード等の案内、資格外活動は資格外活動の許可、更新の申請期間は在留期間更新許可申請と特例期間とは?にあります。届出は厚生労働省の外国人雇用状況の届出、雇用管理の指針は外国人の雇用、育成就労と不法就労助長罪の引き上げは出入国在留管理庁の令和6年入管法等改正についてと育成就労制度、特定技能は特定技能制度で確かめられます。

更新履歴

  • 2026年10月1日: 公開