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社会保険・労働保険

社会保険の資格取得届・喪失届はいつまでにどこへ?入社・退職の手続きの早見表と段取り

入社や退職のたびに出す、健康保険・厚生年金の「資格取得届」と「資格喪失届」。どちらも期限は5日以内と短く、提出先や本人から集めるものを毎回調べ直している担当者も多いと思います。この記事では、提出先と期限を早見表で確かめられるようにしたうえで、期限に間に合わせる段取りと、退職のときに取りこぼしやすい回収物の扱いをまとめます。

資格取得届と資格喪失届の早見表
項目資格取得届(入社)資格喪失届(退職)
基準の日入社日(資格取得日)退職日の翌日(資格喪失日)
期限資格取得日から5日以内資格喪失日から5日以内
集めるものマイナンバー(か基礎年金番号)、扶養する家族の情報本人と家族の資格確認書など(交付されている場合)
添えるもの被扶養者(異動)届(扶養する家族がいる場合)資格確認書回収不能届(回収できなかった場合)

入社・退職で出す届出の一覧

入社・退職のときは、健康保険・厚生年金の届出と、雇用保険の届出を、別々の期限・別々の窓口に出します。健康保険・厚生年金の届出に気を取られて、雇用保険を後回しにしがちなので、1つの一覧で管理します。

入社したときに出す届出
届出提出先期限
資格取得届(健康保険・厚生年金)事務センターか年金事務所資格取得日から5日以内
被扶養者(異動)届事務センターか年金事務所入社日(扶養する家族が増えた日)から5日以内
資格取得届(雇用保険)ハローワーク資格取得日がある月の翌月10日まで
退職したときに出す届出
届出提出先期限
資格喪失届(健康保険・厚生年金)事務センターか年金事務所資格喪失日から5日以内
資格喪失届・離職証明書(雇用保険)ハローワーク資格を失った日の翌日から10日以内

健康保険組合に入っている会社は、健康保険の分を組合にも出します(次の節)。雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上働く見込みのある人が対象です(昼間の学生は原則として対象外。休学中の人や、定時制・夜間・通信制の学生は対象になります)。加入するかどうかの判定は、社会保険の実務の記事にまとめています。

外国人を雇ったときや辞めたときは、雇用保険の資格取得届・喪失届に在留資格などを書くことで、外国人雇用状況の届出を兼ねます(特別永住者などを除く)。詳しくは外国人雇用の記事で説明しています。

詳しく読む社会保険は誰が入る?加入条件の判定から入退社の手続き、算定・月変まで担当者の実務の流れ

提出先の見分け方と出し方

健康保険・厚生年金の届出の提出先は、会社が入っている健康保険が「協会けんぽ」か「健康保険組合」かで変わります。担当者が替わったばかりの会社では、どちらか分からないこともあります。

協会けんぽか健康保険組合か
項目協会けんぽ健康保険組合
見分け方資格確認書などの保険者名が「全国健康保険協会 ◯◯支部」。健康保険料は、厚生年金保険料と一緒に日本年金機構から請求される保険者名が「◯◯健康保険組合」。健康保険料は組合から別に請求される
出し先日本年金機構(事務センターか年金事務所)に1枚で出す厚生年金の分は日本年金機構へ、健康保険の分は組合へ、それぞれ出す

出し方は、電子申請、郵送、窓口のどれでもかまいません。資本金1億円を超える法人などは、雇用保険の資格取得届・資格喪失届を電子申請で出すことが義務になっています(健康保険・厚生年金の資格取得届・喪失届は義務の対象外です)。義務のない会社でも、入退社の情報を給与計算ソフトや人事労務のシステムで集めているなら、そこから電子申請するのが一番手間が少なく済みます。

資格取得届: 入社前に情報をそろえる

資格取得日は、雇用された日(入社日)です。試用期間中でも入社日から加入し、月の途中で入社した人も、入社した月の分から保険料がかかります。

5日以内に出すコツは、入社日を迎える前に、届出に必要な情報を本人から集め終えておくことです。入社してから集め始めると、それだけで期限の大半を使ってしまいます。

  1. 入社前に情報を集める内定後マイナンバー、扶養に入れる家族の有無と、その家族の収入の見込みを、システムの画面で入力・アップロードしてもらいます。
  2. 本人を確認する入社日マイナンバーの番号と、本人であることを社内で確かめます。
  3. 資格取得届を出す5日以内扶養する家族がいれば、被扶養者(異動)届も一緒に出します。
  4. 雇用保険の取得届を出す翌月10日まで健康保険・厚生年金の届出と同じタイミングで出してしまうと、忘れません。
  5. 本人に案内する届出の後マイナ保険証を使う人は、届出が処理されるとマイナ保険証で受診できるようになります。使わない人には資格確認書が届きます。

届出にマイナンバー(か基礎年金番号)を書けば、本人確認の書類を年金事務所に添える必要は原則ありません。どちらも書いていない届出は返されます。扶養する家族の続柄の確認書類も、本人と家族のマイナンバーを書いて会社が確認すれば、省けることが多くあります。

労務の現場から

入社の手続きは、人事労務のシステムで行うのが一番すっきりします。以前は各種の用紙のコピーをたくさん出してもらうのが当たり前でしたが、今は原本を回収しなければならない場面はかなり減りました。提出された情報が正しいと確かめられれば、紙で集める理由はあまりありません。

紙の書類は、受け取った時点で重要な個人情報として保管する責任が生まれます。「あったほうがいいかもしれない」くらいの理由で集めている書類があるなら、いっそ紙での回収はやめて、システムでの入力と電子申請に切り替えてください。最初の設定は少し手間でも、入社のたびの作業と郵送が減ります。

注意どの確認書類を画像やデータで受け取ってよいかは、届出や家族の状況によって違います。迷うものは、日本年金機構の案内(健康保険組合の会社は組合の案内)で確かめてから、紙での回収をやめてください。

資格喪失届: 喪失日は退職日の翌日

資格喪失日は、退職日当日ではなく、その翌日です。期限の5日も、喪失日から数えます。

資格喪失日の例
場面資格喪失日
月の途中で退職した退職日の翌日
月末に退職した翌月1日
労働時間が減り、加入の対象でなくなった対象でなくなった日
75歳になった(健康保険)75歳の誕生日
  1. 喪失日と最後の給与を確かめる退職日が決まったら喪失日から、最後の給与で差し引く保険料の月数が決まります(下の注意)。
  2. 回収するものを伝える最終出勤日の前本人と、拠点が離れていればその責任者に、回収するものの一覧を渡しておきます。
  3. 最終出勤日に回収しきる最終出勤日その場に立ち会い、回収するものをすべて受け取ります。
  4. 資格喪失届を出す喪失日から5日以内回収したものを添えて出します。回収できなかったものがあれば、資格確認書回収不能届も出します。
  5. 雇用保険の喪失届を出す喪失日の翌日から10日以内本人が離職票は要らないとはっきりしている場合を除き、離職証明書も添えます(59歳以上の人は必ず添えます)。

労務の現場から

退職のときに回収するものは、今は資格確認書などが中心になりました。ただ、退職した後や最終出勤日を過ぎてから追いかけて回収するのは、かなり難しくなります。本人にとって優先順位が下がり、連絡も取りづらくなるからです。

だから、最終出勤日に立ち会い、その場で回収しきるのが基本です。店舗や拠点が離れていて担当者が立ち会えない場合は、現場の責任者が何を回収すればよいかを正しく分かっているよう、リストを渡しておきます。「後で送ってもらえばいい」と後回しにせず、その日のうちに終えることが大切です。

退職のときに回収するもの・しないもの
もの回収補足
資格確認書(本人と扶養家族の分)する喪失届に添えて返す
高齢受給者証・限度額適用認定証などする交付されている人だけ
以前の健康保険証・資格情報のお知らせしない返す必要はなく、本人に処分してもらう
マイナ保険証(マイナンバーカード)しない本人のもの。退職後の保険の情報は、届出が処理されると切り替わる

健康保険組合に入っている会社は、回収するものや返し方が組合の案内と違うことがあります。あわせて、退職後の健康保険(任意継続・国民健康保険・家族の扶養)をどうするかも、最終出勤日までに本人に案内しておきます。

60歳以上の人が退職した後、間を空けずに同じ会社で再雇用されるとき(定年後の再雇用など)は、喪失届と取得届を同じ日付で出せます(同日得喪)。月額変更を待たずに、再雇用後の給与で標準報酬月額が決まります。進め方は定年後の再雇用の記事にまとめています。

注意保険料は、資格喪失日がある月の前月分までかかります。月の途中で退職した人は前月分までですが、月末に退職した人は退職した月の分までかかるため、最後の給与から2か月分(前月分と退職した月の分)を差し引くことがあります。同じ月に入社して退職した人は、その月の保険料がかかります(厚生年金は、その月のうちに別の厚生年金か国民年金に入れば、後で返されます)。

離職票は、会社が雇用保険の手続きを電子申請で行い、本人がマイナンバーをハローワークに登録してマイナポータルの利用手続きを済ませていれば、本人のマイナポータルに直接届けることもできます(2025年1月20日から)。退職する人に、手元に届くまでの流れを案内しておくと問い合わせが減ります。退職日までの有給休暇の消化の組み立て方は、次の記事で整理しています。

退職の申し出から最終出勤日までの段取りや、退職後に会社が出す書類は、退職と解雇の記事にまとめています。休職期間の満了で退職になる人の進め方は、休職と復職の記事で扱っています。

詳しく読む退職時の有給消化は拒否できる?人手不足の会社が取れる4つの手と逆算スケジュール

よくあるつまずきと防ぎ方

資格取得・喪失の手続きは、出してもらった情報をもとに届け出るので、書類の書き方で失敗することはそれほど多くありません。つまずくのは、情報や回収物がそろわないところです。

資格取得・喪失の手続きのつまずき
つまずき起きること防ぎ方
5日の期限に遅れる本人が新しい保険で受診できるようになるのが遅れる入社前に情報を集め終える。遅れに気づいたら、すぐに出す
扶養する家族の確認書類が足りない行政から問い合わせが来て、家族の加入が遅れる必要な書類を最初にまとめて伝え、やり取りを短くする
被扶養者(異動)届を出し忘れる家族が新しい保険で受診できない資格取得届とセットで確かめる項目にする
資格確認書を回収しきれない退職後に使われると、後から医療費の返還を求められることがある最終出勤日に立ち会って回収する。拠点には一覧を渡す
雇用保険の届出を忘れる離職票が遅れ、退職した人の失業給付の手続きが遅れる健康保険・厚生年金と雇用保険を1つの一覧で管理する

確認の書類が増えやすいのは、扶養の状況が一般的でない家族を入れるときです。行政から問い合わせが来たら答えれば済みますが、やり取りが長引くほど、本人の手間も増えます。入社したばかりの人の気持ちを、本業以外のところで削がないよう、スムーズなやり取りを心がけます。

様式や記入のしかたは、日本年金機構の資格取得の手続き・資格喪失の手続き・家族を被扶養者にするときの手続き・資格取得時の本人確認事務、雇用保険は厚生労働省の事業主の行う雇用保険の手続きで確かめられます。