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住民税の特別徴収はどう進める?6月の切り替えと入社・退職の手続き、通知書の電子化まで

給与から住民税を引いて納める「特別徴収」は、税額を会社で計算しなくてよい代わりに、市区町村から届く通知を正しく反映し、入社・退職のたびに届け出をする仕事です。この記事では、1年の流れと、6月の切り替え、入社・退職のときの手続きを、担当者の段取りとしてまとめます。

住民税の特別徴収の早見表
項目内容
税額市区町村が計算して通知する(会社では計算しない)
引く期間6月から翌年5月までの12回
納める期限引いた月の翌月10日まで(納期の特例の承認を受けた会社は年2回)
入社・退職給与所得者異動届出書などを、翌月10日までに市区町村へ出す

特別徴収の1年の流れ

住民税は、前の年の所得をもとに市区町村が税額を決め、会社に通知します。会社は原則として、給与を払うすべての人について特別徴収をしなければなりません。1年の仕事は、次の流れで回ります。

  1. 給与支払報告書を出す1月31日まで年末調整の結果をもとに、従業員のその年の1月1日時点の住所がある市区町村へ出します。通知書を電子で受け取るかどうかは、ここで選びます。
  2. 税額の通知を受け取る5月市区町村から、5月31日までに特別徴収税額の決定通知が届きます。
  3. 給与に反映して、通知書を配る6月の給与の前新しい税額を給与計算ソフトに入れ、本人用の通知書を従業員に渡します。
  4. 毎月引いて納める6月〜翌年5月給与から引いた税額を、翌月10日までに市区町村へ納めます。
  5. 変更と入退社を反映する随時税額の変更通知が届いたら直し、入社・退職があれば届け出ます。

給与支払報告書は、年末調整と一緒に準備します。年末調整の段取りは、次の記事にまとめています。

詳しく読む年末調整はいつから何をする?10月の事前確認から1月の提出まで、担当者の段取り

常時10人未満の会社は、市区町村の承認を受ければ、納める回数を年2回にできます(納期の特例)。6月から11月分は12月10日まで、12月から5月分は6月10日までに納めます。

通知書は電子で受け取り、電子で配る

特別徴収の手間は、税額の計算ではなく、届いた通知の税額を給与に反映することと、従業員に通知を配ることにあります。会社が受け取る通知(特別徴収義務者用)と、従業員に渡す通知(納税義務者用)の2つがあり、どちらも電子で扱えます。

労務の現場から

住民税の手間は、大きく2つです。1つは通知書の配布で、従業員が増えるほど手間がかかります。今は電子で配る仕組みを組むと、スムーズに回ります。もう1つは、届いた税額を給与に反映する作業です。何十人分もの税額を手で入力すると、手間も間違いも増えます。各市区町村から送られてくるデータを電子で受け取り、そのまま給与計算ソフトに取り込める仕組みにしておきます。

令和6年度の通知から、eLTAX(地方税のポータルシステム)で給与支払報告書を出した会社は、会社用の通知も、従業員用の通知も、電子データで受け取れるようになりました。給与支払報告書を出すときに、それぞれ「電子データ」を選びます。従業員用を電子で受け取るには、給与支払報告書に受給者番号(社員番号など)を書いておく必要があります。

電子データを給与計算ソフトに取り込めば、何十人分の税額を1件ずつ入力しなくて済みます。従業員用の通知は、給与明細と同じように、ソフトやシステムから本人に配る形にそろえると手間がかかりません。取り込みや配布ができるかは、使っている給与計算ソフトで確かめてください。

6月の切り替えと、後から届く通知

6月の給与から、新しい年度の税額に切り替えます。年税額を12で割った端数は最初の6月分にまとめられるため、6月と7月以降の月額が違う人がいます。6月分と7月分以降の2つの額を、両方とも正しく入れます。

労務の現場から

6月の切り替えで気をつけたいのは、電子データでも紙でも、一度通知が届いた後に、同じ人の通知がもう一度届くことがある点です。後から届いた通知を見落とすと、古い税額のまま引き続けてしまいます。届いたものは必ず確かめ、最新の通知の税額を入れます。

後から通知が届く主なきっかけは、市区町村に追加の資料が届いて税額を計算し直した場合です。たとえば、本人の確定申告や住民税の申告が遅れて届いた、前の勤務先などから給与支払報告書が追加・訂正で出された、扶養親族の区分が訂正された、といったものです。変更の具体的な理由は従業員用の通知に書かれているので、本人から問い合わせがあれば、その通知を持って市区町村に確かめてもらいます。

年度の途中でも、本人の申告の修正などで税額が変わると、市区町村から「税額変更通知書」が届きます。変更後の税額は、通知に書かれた月の分から引きます。すでに引いた月の分を直す必要はなく、残りの月の額が変わる形です。

  • 全員分の通知を受け取ったか(住所がある市区町村ごとに届く)
  • 6月分と7月分以降の額を、分けて正しく入れたか
  • 後から届いた通知や変更通知を、最新のものとして反映したか
  • 従業員用の通知を、6月の給与までに本人へ渡したか

入社したときの手続き

入社した人の住民税は、前の会社で特別徴収をしていたかどうかで手続きが変わります。どちらも、従業員の住所がある市区町村(その年の1月1日の住所地)に出します。

入社したときの住民税の手続き
前の状態手続き
前の会社で特別徴収前の会社が書いた給与所得者異動届出書を本人経由で受け取り、自社の欄を書いて市区町村へ出す。前の会社から引いていた残りの分を、自社で引き継ぐ
普通徴収(自分で納めていた)市区町村の特別徴収への切替申請書を出す。切り替えられるのは納期限が来ていない分だけで、過ぎた分は本人が納める。引き始める月は、市区町村が通知で指定する
新卒など前の年に所得がないその年度は住民税がかからないことが多い。翌年の6月から、通常の流れで特別徴収になる

異動届出書を受け取れず、本人が普通徴収に切り替わっていることもあります。入社の書類を集めるときに、住民税を前の会社で引いていたかを本人に確かめておくと、手続きを選び間違えません。入社のときに集める書類の全体は、次の記事にまとめています。

詳しく読む入社手続きは何をいつまでに?内定から試用期間まで、労働条件通知書兼雇用契約書で回す段取り

退職したときの手続き

退職した人の残りの住民税をどう納めるかは、退職した時期で決まります。1月1日から4月30日までに退職した人は、残りの税額を最後の給与や退職金から一括で引くのが原則です(本人の申し出は要りません)。ただし、次の会社ですぐに特別徴収を続ける場合は、一括で引かずに引き継げます。

退職した時期と、残りの住民税の扱い
退職した時期扱い補足
1〜4月一括徴収(原則)次の会社で特別徴収を続けるときは引き継げる。最後の給与などが残りの税額に足りないときは、普通徴収に切り替える
5月最後の給与で5月分を引いて終わり残りは5月分だけなので、まとめて引く必要はない
6〜12月普通徴収に切り替える本人の申し出があれば一括徴収もできる。次の会社で特別徴収を続けることもできる

6月から12月の退職では、無理に特別徴収を続けようとせず、普通徴収に切り替えるのを基本にしてかまいません。普通徴収にしても本人が損をするわけではなく、どちらにしても払う方法の違いです。特に、次の会社がまだ決まっていないような場合は、普通徴収にするのが自然です。

退職した人については、給与所得者異動届出書を、退職した月の翌月10日までに市区町村へ出します。次の会社で特別徴収を続けるときは、この届出書に自社の欄を書いて本人を通じて次の会社に渡し、次の会社から市区町村へ出してもらいます。

注意一括徴収にした月は、いつもの月額よりずっと多くの額を最後の給与から引きます。手取りが大きく減るので、退職の手続きのときに本人に伝えておきます。

退職の段取り全体は退職と解雇の記事に、退職のときの健康保険・厚生年金と雇用保険の手続きは次の記事にまとめています。

詳しく読む社会保険の資格取得届・喪失届はいつまでにどこへ?入社・退職の手続きの早見表と段取り

つまずきやすいところ

特別徴収の間違いは、計算ではなく、反映と届け出の漏れから起こります。毎月の給与計算の流れの中に、次の確認を組み込んでおきます。毎月の給与計算の前と、入退社があった月に、次の点を確かめます。

  • 変更通知や、後から届いた通知を反映したか
  • 入社した人の手続き(異動届出書か切替申請書)を出したか
  • 退職した人の異動届出書を、翌月10日までに出したか
  • 1月から4月に退職した人の残りの税額を、一括で引いたか(次の会社で続ける場合を除く)
  • 引いた税額を、翌月10日まで(納期の特例なら年2回)に納めたか

賞与からは住民税を引きません。賞与から引くものは、次の記事にまとめています。

詳しく読む賞与から引く社会保険料・源泉所得税の計算方法は?1人分の計算例と、退職・休業する人の扱い

手続きの細かい様式や、特別徴収への切り替えを受け付ける月は、市区町村によって違います。従業員の住所がある市区町村の案内で確かめてください。この記事の内容は、たとえば江東区の特別徴収の案内、鶴岡市の特別徴収のしおり(納期の特例・変更通知・退職時の一括徴収)、横浜市の特別徴収税額通知の電子化の案内、さいたま市のよくある質問(1〜4月の退職で次の勤務先で続ける場合)、広島市の普通徴収からの切り替えの案内、横浜市の変更通知についてのよくある質問で確かめられます。

更新履歴

  • 2026年10月1日: 公開